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【老後破綻のリアル】資産4,000万円でも安心とは限らない?エリート部長の家計を診断してみた

資産寿命メソッド|第1話・診断編

老後資金は「いくら必要か」ではなく、「何歳まで持たせられるか」で考える。

老後資金はいくらあれば安心ですか。

2,000万円? 4,000万円?

4,000万円あれば本当に安心なのでしょうか。

実は、4,000万円あっても、老後の生活設計によっては70代後半で資金が尽きる可能性があります。

このシリーズでは、老後資金を「いくら持っているか」ではなく、「何歳まで持たせられるか」という視点で考えます。 

まずは、老後資金にどれくらい余裕があるのかをADI(資産耐久指数)でチェックします。

そこから支出や資産配置を見直し、シミュレーターで条件を変えながら、自分にあった資産寿命の延ばし方を探していきます。

資産寿命メソッドの循環サイクルを示す図。①ADIで診断する、②支出を改善する、③資産配置を考える、④シミュレーターで試す、⑤改善を繰り返す、という5つのステップを循環させ、自分に合った資産寿命の延ばし方を探していく。
資産寿命を考える基本サイクル。まずADIで現在地を知り、支出や資産配置を見直して、シミュレーターで何度も試します。
目次

資産4,000万円・大手企業部長「守田さん」の事例

ここに、資産も収入も恵まれているように見える一人のエリートサラリーマンがいます。

58歳の大手企業部長・守田さんの人物紹介。妻と大学生の子ども1人の3人家族で、60歳時点の見込み資産は約4,000万円。再雇用後の収入減や高い支出、住宅ローンなどを抱え、老後資金への不安がありながら支出の見直しを先送りしている。
守田さん(58歳)――資産4,000万円でも、老後資金への漠然とした不安を抱える大手企業部長。

さらに、老後の豊かな「総収入」の見込みも立派です。

夫婦の公的年金は月26.5万円(日本の平均約22万円を大きく上回る水準)、個人年金が月5万円(10年間)、持株会配当が月9,000円。

老後の月間総収入は「約32.4万円」に上ります。

毎月32万円以上も収入があり、貯金も4,000万円。

普通なら老後は安泰だと思いますよね。

しかし、このままの家計を続けると、70代後半に資金ショートを招く可能性があります。なぜでしょうか?

テレビで老後生活についての特集を見ていた守田さん夫婦

守田さんの妻

定年になったら、再雇用されてもお給料がかなり下がるっていうけど、あなたの会社はどうなの?

守田さん

4割くらいになるみたいだよ

守田さんの妻

結構下がるのね。まだ子どもの学費もあるし、住宅ローンも75歳まで残っているでしょう。大丈夫かしら……

守田さん

まあ、貯金もそこそこあるし、退職金も出るからな。
60歳になれば、合わせて4,000万円くらいにはなると思うよ

守田さんの妻

でも、定年まであと2年でしょう。今のうちに、老後の生活費をちゃんと計算しておいた方がいいんじゃない?

守田さん

そうだな……

守田さんの妻

このADIっていうの、計算してみない?

資産の「額」ではなく「耐久力」を測る新指標『ADI』

ここまで読むと、「資産4,000万円もあるのに、なぜ老後破綻するの?」と疑問に思いますよね。

そこで登場するのが、ADI(資産耐久指数)です。

ADIは、今持っている金融資産が、現在の生活費に対してどれくらいの余裕を持っているのかを確認するための指標です。

資産の金額だけを見ていると、「4,000万円もあるから大丈夫」と思ってしまいます。

しかし、年間720万円の生活費なら、同じ4,000万円でも意味は変わってきます。

大切なのは「いくら持っているか」だけではなく、「今の支出水準に対して、その資産がどれだけの耐久力を持っているか」です。

その目安をシンプルに数値化したものがADIです。

【ADIの計算式】 金融資産総額 ÷ 年間生活費 = ADI

判定基準
  • 15以上:余裕あり
  • 10〜15:標準
  • 5〜10:要改善
  • 5未満:危険

※ADIの判定基準について
「15以上:余裕あり」「10〜15:標準」「5〜10:要改善」「5未満:危険」という区分は、ADIを分かりやすく判断するために当ブログが独自に設定した目安です。公的な基準ではありません。

そこで、守田さんのADIを、現在の生活費「年間支出720万円(月60万円)」をもとに計算してみましょう。

金融資産4,000万円 ÷ 年間支出720万円 = ADI「約5.6」

ADI(資産耐久指数)の計算方法と判定基準を示すイラスト。金融資産総額を年間生活費で割ってADIを算出し、金融資産4,000万円、年間生活費720万円の場合はADI約5.6となる。「15以上:余裕あり」「10~15:標準」「5~10:要改善」「5未満:危険」という判定基準を示している。
ADI(資産耐久指数)で、現在の資産が生活費に対してどれだけの余裕を持つかを確認します。

ここで注意したいのは、「ADI5.6=資産が5.6年で尽きる」という意味ではないことです。年金や配当などの収入があるため、実際の資産寿命はもっと長くなります。
ADIは、「現在の支出水準に対して、金融資産にどれだけ余裕があるか」を確認する健康診断です。
実際に何歳まで資産が持つのかは、次回紹介する「出口戦略シミュレーター」で確認していきます。

金融資産4,000万円を持ち、年金も平均以上。

一見すると老後は安泰に見える守田さんです。

ところが、ADIで診断してみると、判定は「要改善」でした。

守田さん

……5.6? 4,000万円もあるのに?

守田さんの妻

どうしてこんなに低いのかしら……

なぜ4,000万円の資産があり、年金も平均以上なのに「要改善」なのでしょうか。

【驚きの健康診断】守田さんの家計は「メタボ体質」だった

実は守田さん、75歳まで続く重い「住宅ローン」(月15万円)を抱え、現役時代の収入に合わせて膨らんだ生活費や固定費も、そのまま残っています。

ここでいう「メタボ家計」とは、現役時代に膨らんだ家計が、定年後も縮小できていない状態のことです。

60歳で再雇用になると収入は大きく減りますが、支出はすぐには減りません。守田さんは「定年になってから見直せばいい」と考え、支出の改善を先送りしていました。

守田さんのメタボ家計を示すイラスト。住宅ローン15万円、食費9万円、教育費10万円など月60万円の生活費に対し、60歳の再雇用後は手取り約29万円と持株会配当約0.9万円で、収入約29.9万円となる家計の状態を表している。現役時代に膨らんだ生活費や固定費を定年後も維持し、収入が減っても支出を簡単には減らせないことを示している。
守田さんの「メタボ家計」――現役時代に膨らんだ生活費や固定費が、定年後も縮小できていない状態。

守田さんを待ち構える「キャッシュフローの悪夢」と先送りの心理

58歳の今、守田さんには老後資金への漠然とした不安があります。

それでも「再雇用になった頃には教育費もなくなるし、定年になってから考えればいい」と、支出の見直しを先送りしています。

なぜ守田さんは支出を減らせないのか。

60歳で再雇用になり収入が激減しても、「保険を減らしたら心配」「携帯を安くしても大して変わらない」「行きつけの外食はやめられない」と、決断を先延ばしにしてしまうリアルな葛藤があります。

支出改善を先送りする守田さん夫婦のイラスト。保険の見直しや携帯料金の削減、外食を減らすことをためらう様子と、61歳以降の収入約29.9万円に対して支出約50万円となり、毎月約20.1万円の赤字が続く家計を示している。
支出の見直しを先送りする守田さん夫婦。再雇用後は収入が約29.9万円に減る一方、支出は約50万円となり、毎月約20.1万円の赤字が続く状態です。

決断を先延ばしにした結果、61歳以降もメタボ家計が猛烈な勢いで資産を食いつぶし、毎月20万円以上の赤字を垂れ流し続けます。

そして、この状態を放置すれば、住宅ローン完済前後の70代後半に資金ショートを招きかねません。

老後破綻の原因は「投資をしていないから」ではなく、「支出の最適化ができていないから」ということを最初に考える必要があります。

まとめ:あなたのADIはいくつでしたか? 

まずは、あなた自身のADIを計算してみてください。

計算式:金融資産総額 ÷ 年間生活費 = ADI

「自分のADIはどのくらいだろう?」と知ることが、自分の資産寿命を考える第一歩です。

正解を探す必要はありません。まずは現在地を知ることから始めましょう。

「このままではまずいかもしれない」

初めてそう感じた守田さん夫婦。
次に二人が考えたのは、「何を変えればいいのか」ということでした。

守田さんの現在地(第1話終了時点)
  • ADI:5.6(要改善)
  • 資産寿命:まだ不明
  • 次の課題:支出の見直し
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